離婚の問題
離婚するために必要な手続
夫婦の一方が離婚を決意した後,実際に離婚をするまでには,解決しなければならない問題が多く存在します。
夫婦の間で,離婚をするかどうかについて意見が食い違っている場合には,離婚協議や離婚調停によって離婚について合意する必要があります。また,これらの手続では合意ができない場合には,離婚が認められる理由(離婚事由)を検討のうえ,離婚訴訟に踏み切らなければならないこともあります。
これらの手続を進めている間の生活費(婚姻費用)も大変重要な問題です。
また,離婚について夫婦の意見が一致している場合にも,住居や預貯金など夫婦として築いた財産を清算する財産分与,離婚時年金分割,子どもがいる場合には親権,養育費,面会交流などの問題が生じてきます。
離婚の方法
【協議離婚】
夫婦間の話し合いにより離婚する方法です。
話し合いで離婚について合意ができた場合には,離婚届を提出することにより離婚が成立します。
【調停離婚】
夫婦間の話し合いによる協議離婚が成立しない場合,家庭裁判所に離婚の調停を申し立てることができます。離婚調停では,調停委員を交えて,概ね1ヶ月に1度のペースで,離婚の成立に向けた話し合いが重ねられます。
【裁判離婚】
離婚調停でも離婚が成立しなかった場合で,それでも離婚を希望する場合には,家庭裁判所に離婚訴訟を提起する必要があります。
この離婚訴訟の判決で離婚が認められるためには,以下の理由(離婚事由〔民法770条〕)が必要です。
⑴ 配偶者に不貞な行為があったとき。
⑵ 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
⑶ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
⑷ 配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき。
⑸ その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
財産分与
財産分与とは,夫婦が結婚後に協力して築いた財産を夫婦間で分け合う手続のことです。
分与の対象となるのは結婚後に夫婦として築いた財産ですので,婚姻前に取得した財産や相続で取得した財産は分与の対象となりません。
分与の割合は原則として2分の1ずつ(清算的財産分与)ですが,離婚後の扶養(扶養的財産分与)や,慰謝料的な要素も踏まえながら妥当な割合を定めます。
離婚時年金分割
離婚時年金分割とは,離婚後,合意または裁判手続によって按分割合を定めて年金事務所に分割請求することにより,婚姻中の厚生年金保険料納付記録の最大2分の1を元夫婦の一方から他方に分割する制度です。
子どもについての手続
【親権者の指定】
子どもがいる夫婦が協議離婚をする場合,協議のなかで,夫婦のいずれかを親権者と定めなければなりません(民法819条1項)。
親権者を定めない限り離婚届は受理されませんので,親権者について夫婦間で話し合いがまとまらない場合には,家庭裁判所に離婚調停を申し立て,その中で親権者の定めについて話し合うことになります。
【養育費】
親と子は直系の血族ですので,親は未成熟子に対し,扶養義務(生活保持義務)を負います。そして,この扶養義務は,夫婦が離婚したからといって消滅するものではなく,子どもを引き取らなかった親も,子どもに対する扶養義務として,養育費を支払うべき義務があります。
【面会交流】
面会交流とは,子どもを養育監護していない方の親が,子どもと面会等をすることをいいます。別居中や離婚後であっても,親であることに変わりはありませんので,子の福祉や利益を害するような場合でない限りは面会交流が認められています。
弁護士費用
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